幹細胞の種類と特徴

全能性幹細胞(受精卵)

どんな種類の細胞にもなれる能力を「全能性」といい、この能力を持っているのは受精直後から 約 2 週間後の「受精卵」だけです。全ての細胞になることができる、まさに「生命の源泉」です。

多能性幹細胞(ES細胞)

ESとは、「EmbryonicStemCell」の略で、日本語では、「胚性幹細胞」といいます。つまり、胚の内部細胞を用いて作られた幹細胞です。胚は、受精卵が数回分裂し、100個ほどの細胞の塊になったもので、この胚の内部にある細胞を取り出し培養したものがES細胞です。ES細胞は、私たちの体を構成するすべての細胞になれる可能性があり、再生・移植医療への応用が期待され、多くの研究機関にて研究がすすめられています。しかし、受精卵の使用にあたり倫理的な問題がハードルになり実用化には困難な状況です。(人には未実施)

多能性幹細胞(IPS細胞)

「induced Pluripotent StemCell」の略。現在のところ研究途上。

体性幹細胞

体性幹細胞は、私たちのカラダの様々なところに存在する幹細胞です。この細胞は何にでもなれるのではなく、血をつくる造血幹細胞であれば血液の細胞、神経系をつくる神経幹細胞であれば神経系の細胞というように役割が決まっていると考えられていました。しかし、骨髄の中に存在する「間葉系幹細胞」は、筋肉や軟骨、神経などに分化する、いわゆる「多分化能」を持つことが明らかになってきました。つまり、間葉系幹細胞は、ES細胞やips細胞の様に、いろいろな細胞になることが可能なのです。そして、近年の研究で骨髄に存在する間葉系幹細胞と似た性質を持つ幹細胞が皮下脂肪内にも多く存在することがわか ってきました。これは、脂肪由来間葉系幹細胞といわれて、組織幹細胞の中で採取が簡単で、組織量も豊富に存在することから、現実的に幹細胞再生治療に活かせる治療細胞として注目され、その抽出培養技術の向上とともに、急速に実用化が進みました。私たちが進めている「自己脂肪由来間葉系幹細胞治療」は、まさにこの医療技術の集大成なのです。